たまごビル健康講座                       平成27年4月11日

      悪い細胞を見つける方法
          ガン幹細胞  ~孫悟空はどいつだ
          籾と苗代の話

        講師  関西医科大学 病理学教授
            四方 伸明 先生


【石垣 邦彦 院長】
          
悪い物を悪いと分かるには、良い物がどのような物か知らないと、本当に自分が悪いか分からない。
少しずつ悪くなっている時、自分ではその状態が普通と思い込んでいて悪いと気付かない。
ROB療法で内臓を調整すると、悪いところが一杯出てきて、初めて、自覚できるようになります。

今までは、結果としての病気を治療する時代ですが、もともとある健康な体とは、どのような物か知る必要が有ります。そうしないと予防はできません。
私たちは、からだのしくみに基づいた生き方、食べ方を身に付けて、病気にならない事で社会に貢献しましょう。
 
病気を治すことだけを目的とするのではなく、みんなが病気にならない、病気があっても共存していくことで、医療費を抑え、社会に貢献して行くことを考えましょう。

「文芸春秋」誌の平成27年5月号に次のような記事が載せられました。
 患者が知らない「医療の真実」
 私もいままで騙されていた 医学部エリートが病気を作っている

世の中がたまご理論に近づいてきました。
 

【四方 伸明 先生】

がん幹細胞を孫悟空と、籾と苗代で説明します。

病理(病気を検証する医師)をしていますと、細胞を見て診断するとか、組織を見て診断する、解剖して検査するのですが、がんの転移や再発について、疑問を持ちました。

がんができると、がん細胞は血管やリンパ管を通って全身に飛んでいきます。以前から、がんが発生したら、血管にはがん細胞が流れて出ていると言われています。
そうすると、がん細胞が血管を通って全身に流れ込んでいるので、またたく間にいろんなところにがんが広がっていくように思います。ところが、あんがいそうではありません。がんによって決まったところに転移層を作る傾向があります。籾が苗代で育つように、がんに合った場所でしか、がんは増殖できません。

また、時間の経過で見ますと、乳がんが治ったと言っていたところが、5年や10年たって骨に転移して再発してくる事があります。もともと発生したところの近くで再発したのなら、取り残しですが、全く離れたところで、しかも5年や10年も経ってから再発してくることが不思議でした。

 
 以前は耐性菌の考え方がありました。
感染症の細菌に対して抗生物質の投与を行うと、大多数の細菌は死にますが、一部の細菌は変異をくり返し、強くなって抗生物質に対する耐性が出来て、抗生物質が効かない耐性菌が出てきます。
がんにも同じ考えを当てはめようとすると、抗がん剤に耐えるがん細胞ができるのではないかと考えられます。
しかし、そうではないという考えが出てきました。

最近、がん研究の最新報告でがん幹細胞説が出てきて、不思議に思っていた事が説明できます。

「正常な幹細胞」とは何でしょう。
人間は1つの受精卵が分裂して60兆の細胞になり身体を作ります。
その細胞は同じ物ではなく、部分や機能ごとに変わっていき身体を形成して行きます。

髪の毛になる細胞や皮膚になる細胞などと分化して行きます。そして、人体ができて、古い細胞は死んでゆきます。常に新しい細胞が作られ、入れ替わります。その時細胞は受精卵の状態から進化するのではなく、消化管の幹細胞、皮膚の幹細胞などと、分化した機能ごとに作られた幹細胞から作られます。
全身に基になる幹細胞があります。幹細胞から生体組織が作られます。また、幹細胞は自己複製して、幹細胞を保っています。また、幹細胞は重要な細胞のため、紫外線や物理的化学的障害に強くなっています。幹細胞さえ無事なら再生できることになります。


「がん幹細胞」
正常な幹細胞が変異して、がん幹細胞ができると考えられます。

上の正常な幹細胞は、分化によってしだいにさまざまな組織や器官をつくる細胞に変わっていきます(右方向)。
しかし幹細胞が直接変異したり(下方向)、いちど分化し始めた細胞ががん化してがん幹細胞に変わること(破線方向)があると考えられています。
     資料/OxfordTextbook of Medicine

がんは異常に増殖して、組織を壊します。増殖の基になるのが、がん幹細胞です。
がん幹細胞は

  ①自己複製を行い、自分を保ちながら、がん細胞を作ります。がん細胞は急激に増殖します。
  ②抗がん剤や、放射線治療への耐性を持ちます。
  ⑤高い転移能をもちます。

がん細胞は、転移能が低いので血管で全身に流れても、転移しません。しかし、がん幹細胞は転移能が高いので、がん幹細胞が移動すると転移が起こります。
抗がん剤や放射線でがん細胞を殺しても、がん幹細胞は障害に強いため、生き残り再発します。

このように考えると、病理医として感じていた疑問が解決します。
抗がん剤や、放射線はがん細胞が分裂するときに効果が出ますが、がん幹細胞はそれほど急激に分裂しませんので生き残り、休眠状態になって残ります。苗代にいるように5年10年たって分裂し、がん細胞を作って、がん細胞が急激に増殖し、がんが再発します。
抗がん剤や放射線に強い、がん幹細胞があって、それが生き残って、時間がたってから、がんが再発する。
がん幹細胞はがん細胞の10万個から100万個に1個といわれています。したがって、がん細胞が全身に流れていても、転移が起こらないのは、がん幹細胞が少ないからです。
がん幹細胞は種類により、籾と苗代のように定着しやすいところがあり、肺がんは副腎に、乳がんは骨に転移しやすくなっています。
がんの治療を行って、がん細胞を殺しても、障害に強い、がん幹細胞が休止状態で生き残り、苗代のような定着しやすいところに入ると活動し、がんが再発します。

分かりやすく孫悟空を使って説明します。





孫悟空は髪の毛から多くの分身を作ります。
しかし、いくら分身を殺しても、孫悟空が無事ならいくらでも分身を作れます。

がんもがん幹細胞だけががん細胞を作ります。
   


まわりの組織を破壊します。
   


がん幹細胞が血管などに入ると、すぐに転移します。
   



孫悟空の話では、孫悟空は悪さをして、閉じ込められます。
がん治療でがん幹細胞は休眠して生き残ります。
しかし、休止しているがん幹細胞は殺すことはできません。
 
それでは、どうすればよいのでしょうか。

(1)がんを出してやる。活動させ、治療する。
   

がんが活動を始めると、抗がん剤や放射線が効きやすくなります。

 (2)がん幹細胞により、増殖しやすい場所が違います。そこでがん幹細胞が棲む環境を破壊する。

  苗代を枯らすように、がんに栄養を与える血管ができないようにするなどで、栄養が行かないよう
  にして、がん幹細胞を死滅させる。

(3)ROB療法でがんを暴れないようにする。からだのしくみをつかって、がんを活動させないように抑え込む。
   

 医学的には考えられない事ですが、たまごビルの患者で前立腺がんが
肺に転移して、転移層が肺に多数あるのにROB療法で今も健在でいる方がいます。

このような方法がとれれば良いことです。

【質問 : 患者さんと四方先生のやりとりです。】
  

【質問】
  正常な幹細胞が、がん幹細胞に変化すると思われます。変化を防ぐにはどうすればよいですか。

 未だ一部のがん幹細胞が見つかった段階で、どういう経路で変化するか、今研究段階です。
 また、がん細胞の10万個から100万個に1個のがん幹細胞を見つけて攻撃する事は、顕微鏡でも
 判断できない状態のため、特別な方法の開発が必要です。
 現在、実験段階では、表面のタンパクの種類から分類が可能ですが、臓器内では判別は難しい状態です。
 早期にがん幹細胞を見つけ、転移する前にがん細胞とがん幹細胞を根こそぎ駆除するのが良い方法です。

【質問】
 人の性格などで、がんになりやすいというのは本当ですか。

 がんは遺伝的な物と、外的な物がありますが、タバコなどを吸っていると、発がん物質を吸っているので
 がんになりやすくなります。また、アルコール度の強い酒を飲む人も食道がんになりやすいですね。

【質問】
 遺伝的要素以外に、後天的な習慣で、がんになりやすくなっていったりしますか。

 習慣による外的な刺激で、遺伝子が変化してがんになりますが、それが遺伝的に伝わらなければ、1代限りです。

【質問】
 がんになっても、がんとうまく付き合うにはどうしたら良いですか。

 自分のからだでつくった物ですので、ROB療法で抑え込んでもらいましょう。


「文芸春秋」の平成27年5月号に

  2025年必ず医療は崩壊する

という記事があります。お金の出所が無いのですから、崩壊します。したがって、がんや糖尿病、高血圧にならないように予防する事が必要です。自分のからだをしっかり管理して、病気にならない身体にしましょう。