たまごビル健康講座   平成19年5月12日



5月度 演題 
 
最近の医療の問題点について

     講師  医療法人 医真会
           理事長 森 功 先生





【医真会理事長 森 功 先生】
森先生は日本予防医学リスクマネージメント学会の会長や、
医療事故防止調査会の代表世話人を勤められ、医療問題の
解決や医療の改善に貢献されています。



 1999年に横浜市立大学病院で、心臓疾患の患者と、肺疾患の
患者を取り違えて手術をしてしまうと言う医療事故が大々的に
報道されました。

しかし、それまで事故が無かった訳ではありませんでした。
表に出て来なかっただけなのです。これは日本の医療の問題点なのです。

 日本の医療の問題点は、
  (1)権威主義 
  (2)封建主義 
  (3)閉鎖主義にあります。

医療は科学に基づいているものです。従って科学的に正しく検証して
いかなければならないものです。正しい根拠と、証拠を持った医療を
行うことが大切です。

1995年医療事故調査会が出来ました。これは、医師が、診療の情報を
頂いて、診療した医師の行った医療が妥当であったのかを審査する会です。

日本では初めて同業である医師が、医師の医療行為を審査する会です。
しかし、医師が自分の名前を出して、医師の医療行為を検証する為、
批判なども有りました。過去11年にわたって医療事故の審査を行って
きました。その内3/4は医師の医療過誤によるもので、原因は医師の
能力不足や説明不足などです。

医師は権威主義であり、また閉鎖的で内容も知らされないし批判も
されない為、正しい医療が発展しにくいのです。
現在もほとんど改善されていないのが現状です。

日本の医療は、薬を売る、検査をする、という様な金儲けの医療が横行
するようになってしまい、不必要な薬漬けや、同じ様な検査を何度もする
様な無駄遣いが増えています。

医療事故を防ぐ為の様々な対策や、機器を導入してまじめに取り組む病院も、
何もしない病院も保険の点数は同じなのです。安全の為に費用を掛けず、
必要のない薬を大量に出し、検査をすれば収入は増えます。
これでは金儲け主義の病院や医師が多くなり、まじめな医師や病院は
苦しくなっている状況です。

そこで、私たちはどうすればよいのか。
自分の医療情報は自分で管理する事です。個人情報保護法が出来ました
ので、自分のカルテは請求してもらう事が出来るようになりました。
医師任せにするのではなく、しっかり説明や治療方針を聞き、文章で貰い、
管理する事です。

事故防止や、安全の為にしっかり管理している病院や医師を選んで、
自分の健康管理、病気の治療に勤めましょう。